特集 緑内障診療ガイド—今日の戦略
Ⅰ.診断・治療の指針—私はこうしている
1.診断の指針
超音波生体顕微鏡を用いた緑内障診断
近藤 武久
1
1神戸市立中央市民病院眼科
pp.36-37
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907858
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超音波生体顕微鏡(ultrasound biomicroscope:UBM)は50 MHzの周波数の探触子を装備しており,4mmまでの深さの超音波像を描き出してくれる。したがって前眼部では角膜,結膜,前房,虹彩,隅角,水晶体表面,毛様体などを超音波像として観察することができる。とりわけ従来の光学的手法では観察が困難であった虹彩の厚味,虹彩裏側の形態,後房,毛様体などの様子を知ることができる点が大きな特徴となる。さらに高周波数で非常に鮮明な像が得られることから,バイオメトリーの道具としても十分に活用できる1)。すなわち,これら前眼部の各組織の形態的特微や相互位置関係を定量的な数値として評価することも可能となる。
UBMによる緑内障診断としては,①病型別の緑内障診断,②術後の病態,③外傷による変化,④バイオメトリーによる情報などを挙げることができる。まず病型別の緑内障診断としては原発閉塞隅角緑内障(primary angle closure glaucoma:PACG)が一番情報量が多いが,その他に先天緑内障や続発緑内障でもそれぞれ特徴的な所見がみられる。しかし原発開放隅角緑内障(primary open angle glaucoma:POAG)では残念ながら得られる情報は少ない。
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