巻頭言
電子カルテ時代の到来
地引 逸亀
1
1金沢医科大学神経精神医学教室
pp.900-901
発行日 2000年9月15日
Published Date 2000/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902278
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私どもの大学病院では本年6月1日から全国に先駆けて電子カルテ使用が始まった。昨年来,一部の診療科では先に試験運転が行われていたが,この6月からは全科一斉のスタートである。本学では薬の処方や臨床検査の指示をパソコンに入力して行うオーダリングシステムは,1997年10月からすでに始まっている。このシステムは私の出身校である金沢大学医学部付属病院ではその数年も前から始まっていたので,特に何の抵抗もなかった。しかし日々の外来や入院の診療所見を従来の紙カルテの記載からパソコンに入力して記録する電子カルテに変え,いわゆるpaperlessにするとなると,これは今までの診療スタイルが一変するわけであり,果たして診療がスムーズに進むのか大いに危惧された。この6月は移行期ということで,まだ従来の紙カルテが外来でも入院病棟でも使用できるので大きな混乱はない。しかし本学では近い将来に紙カルテを廃止するのは確実である。そのような電子カルテ時代が到来すると日々の診療とくに精神科診療がどうなるのか,以下に本学の電子カルテ使用の現状を述べ,その問題点やメリット・デメリットについて考えてみたいと思う。
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