連載 助産よもやも話・18
抱っこで育児―21世紀は母性輝く時代
進 純郎
pp.825-827
発行日 2014年9月25日
Published Date 2014/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102916
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人を診ずして病を診る
20世紀は戦いに終始した時代といわれています。第2次世界大戦,朝鮮戦争,ベトナム戦争,パレスチナ戦争など枚挙にいとまがありません。わが国は第2次世界大戦から69年ほど戦争のない平和な時代が続いてきました。勤勉な日本人は戦後の復興を驚異的な速度で推進し,高度経済成長時代を経てバブル期を形成しました。経済的に豊かになったことが心の豊かさを伴ったかというと少々疑わしいといわざるを得ません。20世紀の後半には医学の進歩は目を見張るようでしたが,医療は「人を診ずして病を診る」と揶揄されたように物質的豊かさが深まれば深まるほど,医療の世界でも心への対応が退化してしまったように感じられます。20世紀末にはようやく心の存在の大きさに気づいた医療従事者は,ホスピスのような形で心のケアに努力するようになりました。
21世紀になってすでに14年が経ちましたが,いじめ問題,乳幼児虐待,DV(ドメスティック・バイオレンス),引きこもりなど心が関係した問題は一向に解決せず,むしろ増加傾向にあります。一般国民に心の大切さを強く啓発しなければならない時期がきたようです。

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