眼科検査法についての私の考え
高度精密器械の実用化と検証
林 文彦
1
1林眼科病院
pp.208
発行日 1998年10月20日
Published Date 1998/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906112
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眼球は,感覚器として極めて鋭敏な機能を持っているだけでなく,光学装置として非常に均整のとれた構造を形成している。そのために,視力や視野などの機能検査法,角膜曲率や屈折などの解剖学的構造の検査法のいずれも,他の科におけるさまざまな検査と比べると,はるかに多くの情報を引き出しているように見える。その結果として,眼科医は精密かつ便利な検査法を頼りにするが,一方ではそれに甘えることによって,諸々の検査にはつきものの信頼限界を超えた情報を期待する場合がありそうに思える。
例えば超音波による眼軸長計測でも,眼内レンズ挿入術後の正視化を求めるため,最近では0.1mm前後のズレさえも問題とする傾向がある。一昔前の開眼手術の時代と比べると,大変せちがらい世の中になったものである。しかし,そのようなIOL予測値の基になる超音波眼軸長検査や,諸々の計算方式に全幅の信頼をおけるものかどうか難しいところである。もちろん,全例が理想的な数値に達するよう努力すべきとしても,誤差の許容範囲についても術者の十分な自覚がほしいところである。
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