増刊号 臨床化学実践マニュアル
II.日常検査における異常値への対応
6.酵素成分
(10)アンジオテンシンI変換酵素
和中 佳生
1
,
上野 雄二
1
1和歌山県立医科大学循環器内科
pp.142-143
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901517
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はじめに
アンジオテンシンI変換酵素(ACE)は,アンジオテンシンIに作用してC末端のヒスチジン-ロイシンを離断することによりアンジオテンシンIIを生成する酵素である.ACEは同時にブラジキニンやカリジンを分解し不活化する作用も有し,キニナーゼIIとも呼ばれる.ACEは肺,小腸,前立腺など生体内に広く分布するが,特に肺をはじめとする血管内皮細胞に多く含まれる.健常者の血清ACE活性はこれら臓器からの逸脱を反映すると考えられている.
血清中のACE活性の病態生理学的意義には不明な点が多いが,Liebermanがサルコイドーシス患者で血清ACE活性が上昇し,かつ治療に反応して低下することを報告1)して以来,種々の呼吸器疾患,肝,腎,甲状腺疾患および糖尿病などで変動することが知られるようになった.しかし,日常の臨床検査上,本酵素活性の測定は主にサルコイドーシスの補助診断や治療効果の判定に用いられている.
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