Japanese
English
連載 眼の組織・病理アトラス・129
網膜剥離
Retinal detachment
猪俣 孟
1
,
向野 利彦
1
,
田原 昭彦
1
,
高比良 健市
1
Hajime Inomata
1
,
Toshihiko Kohno
1
,
Akihiko Tamara
1
,
Ken-ichi Takahira
1
1九州大学医学部眼科学教室
pp.1302-1303
発行日 1997年7月15日
Published Date 1997/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410905499
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網膜剥離retinal detachmentとは感覚網膜と網膜色素上皮層との接着が解離し,胎生期の眼杯腔のように,網膜下腔subretinal spaceが開いた状態をいう。原因により,裂孔原性網膜剥離rhegmatoge-nous retinal detachment (図1)や脈絡膜の炎症に続発する非裂孔原性網膜剥離non-rhegmatogenousretinal detachmentなどが区別されている。いずれの場合でも,解離した感覚網膜と網膜色素上皮層との間には網膜下液が貯留する。
網膜剥離が起こると,その範囲に応じて視野が欠損し,視力が低下する。特に剥離が中心窩に及べば視力低下は著しく,手術によって網膜が復位しても発症前の視力まで回復させることはきわめて難しい。一方,フォークト・小柳・原田病で生じる非裂孔原性網膜剥離では,剥離の高さは裂孔原性網膜剥離に比較してそれほど高くないことが多い。炎症が鎮静化し剥離が消失すると視力は回復しやすい。
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