特集 緑内障Today
Ⅰ 緑内障の本態
緑内障性視神経障害—機械的圧迫説の立場から
沢口 昭一
1
Shoichi Sawaguchi
1
1新潟大学医学部眼科学教室
pp.11-15
発行日 1996年10月20日
Published Date 1996/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410905076
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はじめに
緑内障における視神経障害の機序を明らかにする上で,網膜神経節細胞,視神経線維,および乳頭篩状板のどの部位でどのような障害が生じているのか,それぞれについて考える必要がある。最近,視神経節細胞に関してアポトーシスの概念が導入され注目を集め始めている。一方,視神経乳頭篩状板は視神経線維が眼内から眼外に出て視神経に移行し,その環境が一変する部位であり,これまでの多くの研究からこの乳頭篩状板部位こそが緑内障性視神経障害の発症,進行において決定的な役割を果たすものと考えられてきている。特に視神経線維軸索の,いわゆる軸索輸送が高眼圧負荷によって強くこの乳頭篩状板部位に停滞することが明らかにされ,いわゆる軸索輸送の障害,次いで視神経線維の障害,ひいては網膜神経節細胞の障害,すなわち,緑内障性視神経障害にいたると考えられたからである。
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