Japanese
English
連載 眼の組織・病理アトラス・115
糖尿病網膜症
Diabetic retinopathy
猪俣 孟
1
,
村田 敏規
1
,
岩崎 雅行
1
Hajime Inomata
1
,
Toshinori Murata
1
,
Masayuki Iwasaki
1
1九州大学医学部眼科学教室
pp.760-761
発行日 1996年5月15日
Published Date 1996/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410904859
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
眼球の組織構築は糖尿病網膜症の三大基本病態のいずれに対しても弱点をもっている。第1に,網膜は血管透過性亢進に弱い。第2に,網膜は血管閉塞に弱い。第3に,眼球は血管新生に弱い。以下にその理由を説明する。
網膜には血液—網膜関門が存在する。これは,裏返していえば,そのような装置が必要なほど網膜は血管透過性亢進に弱いことを意味している。黄斑をもつ倒立網膜という特殊な組織構築はとくに弱い。黄斑およびその周囲は各網状層が著しく厚く,浮腫や硬性白斑が生じやすい。黄斑における浮腫は直ちに視力低下の原因になり,糖尿病黄斑症と呼ばれる。外網状層は網膜血管からも脈絡膜血管からも最も遠位にある(図1)。網膜実質内に漏出した血液成分は外網状層に貯留蓄積する(図2)。これが硬性白斑である。
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.