増刊号 6年前の常識は現在の非常識!—AI時代へ向かう今日の眼科医へ
Ⅷ.網膜
Special Lecture
糖尿病網膜症診療ガイドライン
村田 敏規
1
1信州大学医学部眼科学教室
pp.288-289
発行日 2024年10月30日
Published Date 2024/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410215368
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はじめに
糖尿病網膜症は患者数が多く,すべての眼科医が日常的に診療しているので,従来は,極論すれば眼科医の数だけ糖尿病網膜症診療ガイドラインが存在している状況が続いてきた.もちろん日本を縦断するコンセンサスも存在しているが,いわゆる研修した施設,研修した時代などにより,細部では多様すぎる独自性がみられる場合があった.これに対し,日本全体で統一した診察方法を目指した,日本糖尿病眼学会診療ガイドライン委員会による「糖尿病網膜症診療ガイドライン(第1版)」1)が公開されているので,日本眼科学会のウェブサイトでご覧いただきたい.そのなかで最も推奨したいのがclinically significant macular edema(CSME)という概念である.従来は「臨床的に重要な浮腫」と直訳されて,その意味が不明瞭なことからわが国では普及しなかった概念だが,欧米では日常的に外来診療で使用される言葉である.今回のガイドラインでは,意訳して「視力をおびやかす浮腫」とした.
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