連載 眼の組織・病理アトラス・86
ステロイド緑内障
田原 昭彦
1
,
猪俣 孟
1
1九州大学
pp.1904-1905
発行日 1993年12月15日
Published Date 1993/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901975
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ステロイド緑内障は副腎皮質ステロイド薬(以下ステロイド薬)の眼局所あるいは全身投与で高眼圧が誘発された病態である。ステロイド緑内障の発症機序は不明であるが,前房隅角からの房水の流出が障害されて眼圧が上昇するとされる。この房水流出障害は,隅角線維柱帯に存在するグリコスアミノグリカンの量がステロイド薬の影響で増加するためとの説がある。
通常ステロイド薬で誘発された高眼圧は可逆性で,投薬が中止されると眼圧は正常となる。しかし長期にわたって投薬を受けた場合,自覚症状がないままに視機能障害が進行することや,投薬が中止されても眼圧が下降しないことがある。このような例では強い視野障害や視力障害を残すことも稀ではなく,ステロイド薬を使用している患者に緑内障の定期検査を怠ってはならない。
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