特集 眼科基本診療—私はこうしている
診断に必要な基本技術
緑内障の隅角所見—PASとIris processとの鑑別,隅角の広狭の判定および記載法
近藤 武久
1
1神戸中央市民病院眼科
pp.48-50
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410900872
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胎生学的には,隅角組織はpars iridicaとpars ciliaris retinaeとの間に中胚葉から形成される。胎生第6か月で前房は線維柱帯組織の前縁に達し,その後さらに角膜組織と虹彩組織の分割がすすみ,出生時には前房は線維柱帯組織の後縁まで広がり成人の隅角に近い様相を呈するにいたる。この発育過程が十分に完了していない場合には,隅角底(anterior chamber angle recess)は十分に広く,かつ深く開いていない。そして虹彩角膜櫛状靱帯(pectinate ligament,虹彩突起)の遺残が多数みられ,虹彩根部は高位挿入(high insertion)の様相を示し隅角形成不全の所見を示すことになる。すなわち,これらの所見に対する解釈としては,中胚葉発育不全による,虹彩の角強膜からの不完全分割を原因とみなす分割説(anterior chamber deavage theory)が最も有力である。
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