特集 緑内障診療―グレーゾーンを越えて
Ⅰ.診断編
2.隅 角
発達緑内障の隅角所見
久保田 敏昭
1
,
田原 昭彦
2
1大分大学医学部眼科学教室
2産業医科大学眼科学教室
pp.48-51
発行日 2009年10月30日
Published Date 2009/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102918
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
発達緑内障とは
発達緑内障は前房隅角の形成不全によって発症するもので,3~4歳以前に発症して角膜径の拡大を伴う早発型(牛眼)と,それ以後に緑内障が発症する遅発型に区別する。隅角鏡検査では隅角底の形成が不良で,毛様体帯が透見できない,あるいは非常に狭い所見がみられ,この隅角鏡所見は隅角の形成が不良(隅角形成不全)であることを示す1,2)(図1)。組織学的には,線維柱帯に,傍Schlemm管結合組織様の構造を示すコンパクトな組織がSchlemm管下に厚く存在している。コンパクトな組織は細胞突起の短い線維柱帯細胞,コラーゲンとエラスチン線維とからなる線維成分,および基底板様の形態を示す大量の無定形物質で構成されていて,層板状の構造はみられない。この組織が厚く存在していて,線維柱帯の細胞間隙を占めていることが,発達緑内障の眼圧上昇と関係していると考えられる3~6)(図2)。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.