連載 眼科手術のテクニック—私はこうしている・14
隅角所見からみた術式の選択—2.原発閉塞隅角緑内障
奥平 晃久
1
,
根木 昭
1
1天理よろづ相談所病院
pp.175-177
発行日 1990年2月15日
Published Date 1990/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410900034
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隅角所見
緑内障治療は房水排出障害が線維柱帯以降にあるか,線維柱帯に達するまでにあるかを鑑別することに始まる。閉塞隅角緑内障は線維柱帯が一時的にせよ永続的にせよ虹彩によって塞がれることによって生ずるが,隅角鏡によりこの閉塞のメカニズムと閉塞範囲を知ることが治療選択の基本となる.隅角検査は一般にGoldmann型の間接隅角鏡を用いるが,できるだけ角膜を圧迫しない状態での隅角所見が大切で,不用意な圧迫は狭隅角を広隅角に見誤らせる。
隅角閉塞のメカニズムには炎症や外傷に続発するものもあるが,これらは続報にゆずり本報ではいわゆる原発閉塞隅角緑内障を扱う。原発閉塞隅角緑内障のほとんどは瞳孔ブロックにより生ずる。すなわち水晶体が前方に位置するために瞳孔を通って前房へ流れるルートが狭くなり(relativepupillary block),房水は後房に貯留し後房圧の上昇により周辺部虹彩は前方に膨隆する。このため角膜後面と虹彩表面のなす角度は小さくなり,隅角構造もかくされてしまう(図1,2)。隅角の見え方は程度により異なり,毛様体帯(CB)が辛うじて見えるものからSchwalbe lineまでかくされるものまで様々であり,角膜前面と後面のスリットビームが重なるSchwalbe lineの同定が目安となる。さらに瞳孔ブロックがすすみ隅角が閉塞すると眼圧が上昇する。
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