連載 眼科手術のテクニック—私はこうしている・13
隅角所見からみた術式の選択—1.原発開放隅角緑内障
寺内 博夫
1
,
根木 昭
1
1天理よろづ相談所病院眼科
pp.53-55
発行日 1990年1月15日
Published Date 1990/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410900010
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
隅角所見
緑内障の診断と治療は房水排泄障害が,線維柱帯以降の組織内にあるのか,あるいは線維柱帯に達するまでの虹彩形状の変化によるものかを鑑別すること,すなわち隅角が開放しているか閉塞しているかを判定することが基本となる。隅角検査にはGoldmann型の間接式隅角鏡が普及しているが,この場合角膜を出来るだけ圧迫せずに観察することが肝要である。不用意な圧迫は狭隅角を広隅角に変化させる。圧迫効果が少ないという点ではKoeppe型の直接式隅角鏡が優れているが,手持ち細隙燈の使用と低倍率という欠点がある。
開放隅角では,まず図1に示すように角膜後面と虹彩面上のスリットビームの角度が40°前後,少なくとも20゜以上と充分でなくてはならない。さらに図2に示す様にschwalbe線から線維柱帯,強膜岬,毛様体帯,隅角陥凹部,虹彩刺入部までの隅角構造が容易に観察されることが必要である。このような開放隅角をみた場合,原発性と続発性を鑑別せねば治療を誤ることとなる。続発性緑内障の隅角変化については続報で記述するが,前房の炎症,周辺虹彩前癒着,nodule等の変化は,存在するつもりで観察しないと軽度の場合見逃すことになる。
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.