増刊号 6年前の常識は現在の非常識!—AI時代へ向かう今日の眼科医へ
Ⅵ.緑内障
Special Lecture
プロスタノイド受容体作動薬の副作用
坂田 礼
1
1東京大学医学部眼科学教室
pp.177-179
発行日 2024年10月30日
Published Date 2024/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410215348
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はじめに
緑内障におけるエビデンスに基づいた治療法は眼圧下降治療のみであり,その具体的な方法としては薬物,レーザー,手術のうちから選択することになるが,病型によって治療方針が異なる.患者数が最も多い原発開放隅角緑内障の場合,薬物(点眼薬)から開始するのが一般的である.「緑内障診療ガイドライン(第5版)」において第一選択薬としての使用が推奨され,点眼治療の核となっているのはプロスタノイドFP受容体作動薬(以下,FP作動薬)である1).もしくは,同じプロスタノイド受容体作動薬の1つであり,FP作動薬と非劣性の眼圧下降効果を示した選択的EP2受容体作動薬(以下,EP2作動薬)を選択することも可能となっている.
FP作動薬は本邦で使用が開始されてから20年以上が経過しており,効果はもとよりさまざまな副作用が報告されている.端的にいえば,病型を選ばずに使用可能で,眼圧下降効果が強く,点眼アドヒアランスを維持しやすい,かつ忍容性が高い薬剤,である.しかしここ最近は,プロスタグランジン関連眼窩周囲症(prostaglandin associated periorbitopathy:PAP)という概念(表1)が広まり,特に眼圧測定や手術成績に影響する負の側面がクローズアップされている2).EP2作動薬は2018年に上市され,長期の安全性や眼圧下降効果についての知見が集積されている.「6年前」にはなかったEP2作動薬と,従来のFP作動薬の副作用について振り返る.
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