特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅰ.受容体に作用する薬物
2.Gタンパク共役型
3)エイコサノイド受容体
プロスタノイド受容体
根岸 学
1
,
加藤 裕教
1
Manabu Negishi
1
,
Hironori Katoh
1
1京都大学大学院薬学研究科神経機能制御学分野
pp.410-411
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901623
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プロスタノイドは細胞外からの生理的病理的な刺激に応じてアラキドン酸から生成される生理活性物質であり,産生された局所で多彩な作用を発揮し,生体のホメオスタシスの維持に関わる重要なオータコイドである。主要なプロスタノイドはPGE2,PGI2,TXA2,PGD2,PGF2αであり,それぞれに対応する受容体はEP,IP,TP,DP,FPと呼ばれ,EPにはさらに四つのサブタイプEP 1,EP 2,EP 3,EP 4が存在する。これら8種類の受容体はすべてG蛋白質共役ロドプシン型受容体構造をしており,異なるG蛋白質を介して,イノシトールリン脂質代謝系,Ca2+動員系(EP 1,TP,FP),アデニル酸シクラーゼ活性化(EP 2,EP 4,IP,DP),アデニル酸シクラーゼ抑制系(EP 3)と共役している1)。
プロスタノイドの薬理作用は様々な平滑筋の収縮を指標にしたバイオアッセイ系や血小板の凝集などによる解析が主であったが,クローニングされた受容体の発現系を用いた生化学的な解析が進んでおり,表1に示した今までのアゴニスト,アンタゴニストの効力の再評価が詳細になされている2)。プロスタノイドは中枢においても様々な作用を発揮する。PGE2は発熱,痛覚修飾や覚醒誘導を起こしたり,様々な神経終末からの神経伝達物質の遊離を抑制する。
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