増刊号 6年前の常識は現在の非常識!—AI時代へ向かう今日の眼科医へ
Ⅵ.緑内障
原発閉塞隅角病の分類
松尾 将人
1,2
1ダルハウジー大学眼科視覚科学科
2岐阜大学大学院医学系研究科眼科学教室
pp.137-142
発行日 2024年10月30日
Published Date 2024/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410215340
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以前の常識
・原発閉塞隅角緑内障,原発閉塞隅角症,および原発閉塞隅角症疑い,さらに急性原発閉塞隅角緑内障や急性原発閉塞隅角症など,原発閉塞隅角緑内障とその前駆病変のすべてを総称して,従来はprimary angle closure(PAC)と呼称されていた.
・原発閉塞隅角症および原発閉塞隅角緑内障に対する標準治療はレーザー周辺虹彩切開術と薬物治療であり,第一選択治療としての透明水晶体摘出の有効性を示した証拠はなかった.
・急性原発閉塞隅角症罹患眼またはその僚眼を除いた他の隅角閉塞疾患に対する予防的レーザー周辺虹彩切開術を推奨する証拠は不十分であるにもかかわらず広く施行されていた.
現在の常識
・原発閉塞隅角緑内障とその前駆病変のすべてを包含する呼称として,新たに原発閉塞隅角病(PACD)という用語が定義された.
・原発閉塞隅角緑内障および原発閉塞隅角症に対する第一選択治療として「水晶体再建術を施行すること」が強く推奨される.
・原発閉塞隅角症疑いに対する治療介入にあたっては個々の症例によるリスク評価が必要であり,すべて「一律には治療介入を行わないこと」が弱く推奨される.
・ただし,急性原発閉塞隅角症や原発閉塞隅角緑内障に進行するリスクが高い原発閉塞隅角症疑い,特に急性原発閉塞隅角症発症眼の僚眼に対しては治療を「実施すること」が強く推奨される.
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