- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
11月上旬までは暖かな日々が続いており,冬がなくなったかのような錯覚に陥っていましたが,下旬になり日本全体が急に寒さを増してきました。地球温暖化が進むと,海洋の大規模対流がなくなり,冬は極端に寒く夏は酷暑になるとされていましたが,クリスマスの日本の大雪や北米の大規模停電をみるとその通りのようです。ウクライナ戦争はいまだに終息の兆しがみえません。戦争の悲惨さもさることながら,世界中で進むインフレ,急速な円安を伴う日本経済の停滞,新型コロナウイルス感染症の猛威など2022年は悪い意味で世界史に残る年になりそうです。
さて,今月の話題は「視神経炎診療のブレークスルー 病態理解から新規治療まで」です。私の専門の網膜疾患の治療は,21世紀になって導入された抗VEGF治療により一変しました。また診断も光干渉断層計の導入により,眼底観察に頼っていた学問が一変しました。この2つの変化は網膜診療における歴史的革命を引き起こしたといっても過言でありませんが,これは魔法のように突然現れたものではなく20年以上にわたる地道な研究の成果です。同様な地道な研究は視神経疾患の分野でも行われており,その結果,以前は病態が判然とせずにその議論すら進んでいなかった視神経疾患の病態の分類や治療方法などが整然と理解されるようになりました。網膜領域の変化は,疾患数の多さや関連業界による広報活動により,多くの方々が実感しているでしょうが,視神経疾患は重要な領域にもかかわらず認知度は決して高くないようです。今回の特集は,そのような視神経疾患の最新の情報をまとめました。また,次の大きな変化は遺伝子治療だとされていますが,そのためには遺伝カウンセリングは不可欠です。その点について,辻川元一先生に「今月の話題」で解説をしていただきました。どちらの内容も専門家でない読者にもわかりやすいように書かれています。日常診療に必ずお役に立てるものだと思います。
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.