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東日本大震災による電力不足のために,今夏は電力使用制限令が発動され,節電が叫ばれました。たまに訪れる東京では電車やビルの冷房が弱められているだけでなく,街全体が暗く,私も節電を実感することができました。そして,それらの努力により,電力不足に陥ることもなく夏を乗り切ることができ,ついに9月9日,電力使用制限令が解除されました。このことは,日本人は目標に向かって一致団結できる国民性を持っていることを示したと同時に,今までいかに不要な電力を使用していたかをも示したといえます。わが国は,発電のために常に資源を輸入し続けていますが,少なくとも今回使用を控えることができた分は不要なものであった可能性があります。資源が限られていることを考えると,よい教訓になったのではないでしょうか。
さて,今月の話題は「緑内障配合剤のメリットとデメリット」です。現在,多くの種類の緑内障点眼薬がありますが,1人が3種類以上の点眼をする場合,点眼の苦労もさることながら,資源保護の観点からも無駄という印象を拭い去ることができません。ですから,緑内障配合剤が開発されたのは当然のことです。しかし,処方箋を書く側としては,単剤だけでも薬の種類が多いうえに数種類の配合剤が出現した今,それぞれのメリットとデメリットが十分に理解できていないのではないでしょうか。学会のランチョンセミナーや研究会で緑内障点眼薬についての講演を聞く機会は多いのですが,昨今の常として会には共催企業がありますので,内容にバイアスがないかというと否と言わざるをえません。そのことがさらに,点眼薬本来の理解を妨げているようです。本誌の内容はバイアスが排除された科学的なものが厳選されており,読者の信頼に応えることを第一としています。本号における相原先生の簡潔かつ直截的解説により,緑内障点眼薬についての理解が進んだ方も多いでしょう。学会やセミナーの聴講だけでは十分に理解できないことも,本誌を紐解くことで理解が進むことを期待いたします。
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