Japanese
English
連載 Clinical Challenge・12
多発性硬化症に伴う肉芽腫性ぶどう膜炎の症例
A 50-year-old woman with granulomatous uveitis complained of multiple sclerosis
高山 圭
1
Kei Takayama
1
1防衛医科大学校眼科学講座
pp.282-285
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213923
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症例
患者:50歳,女性
主訴:右視力低下
現病歴:2019年3月下旬より右眼の視力低下が出現し,同年5月上旬に近医を受診したところぶどう膜炎を指摘されて当科を紹介され受診となった。数日後の当科初診時,矯正視力は右0.9,左1.2,眼圧は右13mmHg,左16mmHg,右眼に白色〜褐色の豚脂様角膜後面沈着物,前房内に炎症細胞浸潤2+,隅角に丈が低い周辺虹彩前癒着,前部硝子体に炎症細胞1+,下方に雪玉状混濁があった(図1,2)。左眼に炎症はみられなかった。レーザーフレアフォトメーター(laser flare photometry:LFP)値は右34.0pc/ms,左4.4pc/msと右眼が高値であり,フルオレセイン蛍光眼底造影検査では両眼に網膜静脈炎があった(図3)。鑑別として眼サルコイドーシスが挙げられ,眼所見は診断基準の7項目中4項目があった。しかし,ツベルクリン反応陽性,採血検査にてACE正常,胸部X線で肺門部リンパ節腫脹はみられず,臨床診断所見を満たさなかった。これらの結果と臨床経過から両眼性非感染性肉芽腫性ぶどう膜炎としてベタメタゾン点眼とプレドニゾロン内服を開始した。治療反応性は良好で速やかに炎症は寛解したが,プレドニゾロン内服を中止すると右眼ぶどう膜炎が再燃した。そこで,右眼にトリアムシノロンアセトニドテノン囊下注射を行い,プレドニゾロン内服を中止した。8月下旬,突然左視力低下と眼球運動時痛が出現し,再診となった。
既往歴:2018年9月から,蕁麻疹にて皮膚科で内服加療中である。2年前から両足に軽い痺れ感あり。
家族歴:特記すべき事項なし
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