増刊号 すべて見せます! 患者説明・同意書マニュアル—[特別Web付録]説明書・同意書の実例99点
11 緑内障
スーチャートラベクロトミー
小野 岳志
1
1慶應義塾大学医学部眼科学教室
pp.212-214
発行日 2020年10月30日
Published Date 2020/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213792
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手術・治療の概要
緑内障手術は大きく分けると,トラベクレクトミー(LEC)を代表とする濾過手術とトラベクロトミー(LOT)を代表とする流出路再建術がある。LOTは房水流出抵抗の存在する傍Schlemm管内皮網組織を標的とし,Schlemm管内壁と線維柱帯を120°切開することで,眼圧を下降させる術式である。
LOTの1つであるスーチャートラベクロトミー(S-LOT)は,線維柱帯の切開範囲を360°に拡大した術式で,LOTと同様に強膜弁を作製し眼の外から線維柱帯にアプローチする眼外法(図1)と,隅角鏡で線維柱帯を実際に観察しながら前房側からアプローチする眼内法(図2)がある。どちらも,先端を丸く加工した5-0ナイロン糸をSchlemm管内に挿入し,1周通糸後に糸を引っ張りながら360°線維柱帯を切開する。単独手術の術後眼圧は,LOTでは15〜20mmHg,S-LOTでは13〜15mmHgにコントロールされることが多く,S-LOTのほうがより低い眼圧を達成できると考えられている1〜4)。現在では,低侵襲緑内障手術(MIGS)の広がりで,低侵襲で将来の濾過手術に備えて結膜が温存でき,短時間で行うことができる眼内法を選択することが多い。
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