増刊号 すべて見せます! 患者説明・同意書マニュアル—[特別Web付録]説明書・同意書の実例99点
8 角膜
角膜上皮形成術/輪部移植術
冨田 大輔
1
1東京歯科大学市川総合病院眼科
pp.119-121
発行日 2020年10月30日
Published Date 2020/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213758
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手術・治療の概要
角結膜の表面は「上皮細胞」で覆われており,上皮に障害が生じた場合,角膜輪部にある角膜上皮細胞のもととなる細胞(幹細胞)が増殖・移動して上皮障害が修復される。しかし,輪部機能が低下すると,角膜上皮が供給できなくなり,上皮障害が改善しない,あるいは角膜上皮の結膜化といった不具合が生じる。その結果,角膜混濁をきたし,視力障害が起こるだけでなく,遷延性上皮欠損や感染性角膜潰瘍により角膜の菲薄化・角膜穿孔を起こし,難治であることも多い。こういった症例を治療する場合,角結膜上皮と涙液をまとめて1つのユニット(オキュラーサーフェス)として扱う考え方が重要である。輪部機能不全に陥った場合,正常な輪部組織を移植するしか輪部機能を回復する方法はないわけであるが,移植後の予後は,オキュラーサーフェスが正常に保たれるかどうかが大きく左右する。
輪部機能不全をきたす原因は,Stevens-Johnson症候群,眼類天疱瘡,無虹彩症などの疾患だけでなく,重症な熱傷,化学傷などの外傷,薬剤性やビタミンA欠乏症などが挙げられる。
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