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連載 蛍光眼底造影クリニカルカンファレンス・第7回
糖尿病網膜症
Diabetic Retinopathy
長谷川 泰司
1
Taiji Hasegawa
1
1東京女子医科大学眼科学教室
pp.1028-1035
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211866
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疾患の概要
糖尿病網膜症(diabetic retinopathy:DR)は微小血管障害が主な病態であり,①網膜毛細血管の破綻,透過性亢進による網膜出血や網膜浮腫,②毛細血管瘤形成,③網膜毛細血管閉塞による無灌流領域の形成,④網膜虚血による血管新生,などがみられる。血管透過性亢進による糖尿病黄斑浮腫(diabetic macular edema:DME)はDRのいずれの病期にも合併し,視力低下の原因となる難治な病態である(次号第8回参照)。
無灌流領域が広範に及ぶと,網膜虚血によって発現される血管内皮増殖因子の眼内濃度が上昇1,2)し新生血管が発生する。その結果,硝子体出血や牽引性網膜剝離,血管新生緑内障を生じ視機能を著しく低下させる。フルオレセイン蛍光眼底造影(fluorescein angiography:FA)は,これらの微細な血管変化を描出することが可能であり,微小血管症としてのDRの病態把握に非常に大きな役割を果たす。血管新生という増殖性変化が悪化する前に汎網膜光凝固を行い,病状の悪化を防ぐのがDRをコントロールするうえで重要である。そのためにはFA画像を正しく評価することが大切となる。DRにはさまざまな重症度分類が存在するが,本稿ではAmerican Academy of Ophthalmologyにより提唱されたDiabetic Retinopathy Disease Severity Scale3)(表1)をもとに解説する。
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