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連載 目指せ!眼の形成外科エキスパート・第23回
義眼床形成術—目を失った患者に対する心の治療
Socket reconstruction
柿﨑 裕彦
1
Hirohiko Kakizaki
1
1愛知医科大学病院眼形成・眼窩・涙道外科
pp.1036-1041
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211867
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はじめに
八子恵子先生が書かれた義眼床形成術の総説1)の中に,「眼球を失うことになる患者は,その後の義眼装着に大きな不安を抱くとともに,義眼装着を他人に気付かれないことを願っている。従って我々眼科医は,最終的治療である眼球摘出術や内容除去術を行う際に,その治療目的を十分に達成することはもとより,よりよい義眼床を形成するよう努力すべきである」とのくだりがあります。視機能を救うという戦いに敗北した眼科医が最後に患者にしてあげられること,それが「よりよい義眼床を形成すること」なのです。
ここで「よりよい義眼床」とはどのような義眼床をさすのでしょうか? 義眼を入れたときに見栄えが良くて,それが動くこと。これに尽きます。本稿ではこの命題を実現するためにいかなる方策をもって手術に臨むべきか,という観点から,眼球内容摘出術(evisceration)と眼球摘出術(enucleation)を比較し,また,変形した義眼床に対する二次的な修正について解説します。
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