Japanese
English
特集1 脈絡膜と網膜疾患
脈絡膜と近視
Choroid in myopic eyes
植松 聡
1
,
佐柳 香織
1
,
生野 恭司
1
Sato Uematsu
1
1大阪大学大学院医学系研究科眼科学教室
pp.148-151
発行日 2015年2月15日
Published Date 2015/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211216
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はじめに
強度近視眼では網脈絡膜の菲薄化を伴うことは摘出眼からの検討から以前よりよく知られていた。しかし,組織の切片作製の際に組織が収縮する可能性があることから,生体眼での正確な脈絡膜厚かどうか疑問であった。
生体での脈絡膜の観察は主にインドシアニングリーン蛍光眼底造影検査(indocyaninegreen angiography:以下,ICGA)に拠っており,現在でも必要不可欠な検査であるが,2次元的であり,定量性に欠けるなどの限界があった。
近年の光干渉断層計(optical coherence tomography:以下,OCT)の進歩には目を見張るものがあり,spectral-domain OCT(SD-OCT)の登場によって網膜の描出は飛躍的に進歩した。しかし従来のSD-OCT撮影では,深部の描出は不明瞭であり,高度に脈絡膜の菲薄化した強度近視眼を除いては脈絡膜の観察はできなかった。その後,SD-OCTの上下反転した画像を得ることで脈絡膜を観察するenhanced depth imaging(EDI)法や,従来のOCTよりも長波長の光源を用いることで組織への侵達度を高めた高侵達OCTの開発により,正視眼や遠視眼でも脈絡膜の観察が可能になった。
本稿では現在明らかにされている正視眼と近視眼での脈絡膜厚,近視眼に特徴的な眼球形状と脈絡膜厚の関係,および病的近視の脈絡膜について述べていきたい。
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