Just Arrived
汎網膜光凝固の視神経乳頭陥凹に及ぼす影響
桂 弘
1,2
1慶大眼科
2オークランド大学
pp.673
発行日 1989年4月15日
Published Date 1989/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210759
- 有料閲覧
- 文献概要
糖尿病患者では,正常人と比べて,緑内障の罹患率が高いと言われているが,特に増殖性糖尿病性網膜症で汎網膜光凝固を施行された症例では,緑内障性視野異常を検出することは非常に困難であり,乳頭陥凹の診断上の重要性がより高いと考えられる。しかし,光凝固による組織障害が網膜内層,特に神経線維層に及ぶと,上行性萎縮によって視神経にも影響が波及する可能性がある。そこで,汎網膜光凝固の乳頭陥凹に及ぼす影響を知る目的で,増殖性糖尿病性網膜症100例について,汎網膜光凝固施行前と施行1年後の視神経乳頭の立体写真からcup-to-disc ratioを測定し,比較検討した。コントロールとしては,光凝固を施行していない他眼を用いた。その結果,汎網膜光凝固施行1年後では,乳頭陥凹の程度に有意の変化は認められず,これはアルゴンレーザーでもキセノン光凝固でも同様であった。以上より,乳頭陥凹は,汎網膜光凝固施行後の糖尿病患者においても,緑内障の診断上,信頼できる指標であると考えられた。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.