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特集 第37回日本臨床眼科学会講演集 (その7)
学術展示
生後3ヵ月で死亡した極小未熟児網膜症例の眼病理所見について
Pathological study of retinopathy in a threemonth-old premature infant
浜田 陽
1
,
米本 寿史
1
Yoh Hamada
1
,
Hisashi Yonemoto
1
1近畿大学医学部眼科学教室
pp.986-987
発行日 1983年7月15日
Published Date 1983/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410208977
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緒言保育管理の進歩により極小未熟児の生存率が向上してきているが,厳重な酸素管理にもかかわらず,1,000g以下の極小未熟児には網膜症が発症する。極小未熟児の網膜血管の未熟性と酸素濃度に対する反応性についてはいまだに不明な点が多い。今回は未熟児網膜症を発症した症例でトリプシン消化網膜伸展標本ならびに病理組織標木を作成し,網膜血管の未熟性について検討したので報告する。
症例S.M.,1981年9月29日生。生下時体重1,000g,在胎27週,母親は2回の出産歴をもっているがこれまでの出産には異常がなかった。全身的には特発性呼吸窮迫症候群,動脈管開存,脳室内出血,水頭症があり,出生直後より屯症の呼吸障害のため,挿管にて呼吸調節が行われた。出生直後より2日目まではPO2が十分に上昇せず,生後9日目にようやく自発呼吸が可能となった。その後も無呼吸発作が出現した。眼底像は生後3週までは硝子体混濁で透見できず,4週目より透見できるようになった。生後8週より境界線が出現し,III期よりなお進行するため冷凍凝固を3回施行した。しかし全身状態が悪化し,呼吸障害のため出生後約3カ月で死亡した。
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