Japanese
English
特集 第35回日本臨床眼科学会講演集 (その3)
学術展示
糖尿病患者における白内障手術の遠隔成績
Long time follow up of cataract surgery in diabetic retinonathy
三木 正毅
1
,
鈴木 まち子
1
,
近藤 武久
1
Masaki Miki
1
,
Machiko Suzuki
1
,
Takehisa Kondo
1
1神戸中央市民病院
1Department of Ophthalmology, Kobe Central Municipal Hospital
pp.642-643
発行日 1982年6月15日
Published Date 1982/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410208619
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
糖尿病患者の白内障手術においては,出血,炎症や感染などの危険性が高く,また糖尿病性網膜症を進行させる場合があるなどの理由で,一般に慎重な適応の決定や,術前術後のコントロールが必要であるといわれる。われわれはその実態を把握し今後の研究の基礎にしようとして,まず視力予後を中心に,本調査を行った。対象としたのは,1976年4月から1977年12月の間に白内障手術を行った症例で,糖尿病と診断されていた患老61例100眼のうち,長期観察ができた29例50眼で,4年以上経過観察したものが22例38眼になる。
表1に糖尿病性網膜症を認めない症例の術後矯正視力を挙げるが,最終視力で0.5以上のものが92%で,経過中明らかな網膜症の発生をみたものはなかった。表2は単純型網膜症の術後矯正視力で,網膜症のない例と大差はなく,最終視力0.5以上が81%である。この中には嚢外摘出術を施行した例が1眼含まれている。以上の症例のうち,術直後に前房出血を認めたもの3眼と術後前眼部炎症が強かったもの3眼があるが,最終視力には余り関係があるとはいえず,緑内障等大きな併発症は認めていない。また入院時の血糖値と炎症や出血,最終視力との間にも相関は認めていない。これに反して増殖型網膜症は,術後視力が悪く,0.5以上が35%と多くが視力不良例で,最終視力でみると,更に低下し0.5以上は1例のみとなっている。
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.