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緒 言
万人に安らぎの情緒を与えるといわれる青の感覚が眼病に際して侵されるとすれば,それは主として網脈絡膜病変の場合であり,視路の疾患ではむしろ赤緑障害の起りやすいことが古くから知られていた1)。この原則はおそらく現在でも全般的にはほぼ通用するように思われるが,なぜそのような相違が起るのか,あるいは,それが臨床的にどのような意味をもつものであるかについてはあまり明かにされていない。私たちは数年前に,たまたま青錐体系のERGを分離記録しえたことから2),青感受系の反応を種々の眼病について検討してきたが,症例があつまるにつれて,この感受系は,生理的な状態のみならず病態においても赤・緑系とはかなり異なつた反応を示すこと,しかも,ある種の疾患の早期に侵されやすいことが分つてきた。もちろん,単に青の感覚というならば,それにはすべての錐体系と桿体系が複雑に関与して生ずるわけではあるが,眼にしみるような"deep blue"のさわやかさを視界に導入する主役を演ずるものは,やはり青錐体系であると思われる。現在,未だ検索の途上で,十分なデータが集積されたとはいい難いが,二,三の主要な眼病におけるこの感受系の反応態度の特徴と,それが臨床的にどのような意味をもつかについて述べてみたいと思う。
The electrophysiological and the psychophysi-cal properties of human blue (B) sensitive system are briefly reviewed. The clinical methods of de-tecting the increment threshold and of recording isolated ERG or VER of B system are described, together with the normal values or normal res-ponses. The comparative observations are made to verify characteristic behaviours of B system with contrast to the green (G) and red (R) sys-tem under pathological conditions. Main three problems are considered and discussed here.
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