銀海余滴
緑内障濾過手術における結膜弁作製の問題
生井 浩
1
1九州大学
pp.511-513
発行日 1978年3月15日
Published Date 1978/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410207626
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最近緑内障に対し,手術用顕微鏡下に行なうTrabeculectomy (シュレム氏管線維柱切除術)が流行している。これはCairns1)(1968,1972),Watson2)らによつて発案されたものであるが,その手術操作の過程と結果から考えて,明らかに濾過手術である。
ところで過去において実に種々様々の濾過手術が報告,実施されているが,その最も代表的なものはイギリスの眼科医Robert Henry Elliotによつて創案されたSclerocorneal trephining (強角膜円鋸術或いは管錐術)であつた。Elliotは1864年インドのボンベイに生まれ,長じてロンドンのSt.Barcholomew's Hospitalで医学教育を受けたが,28歳の時,軍籍に身を投じ,インドのマドラスに長く駐屯,大佐まで昇進し,同時に国立眼科病院の院長,マドラス医学校の眼科教授になつた。しかし1913年病気のため,ロンドンに帰国した。マドラスではおびただしい白内障と緑内障の患者の手術の体験をしたが,彼の名を不朽ならしめたのは,何といつても強角膜円鋸術の創案である。彼がこの手術法を始めて発表したのは1909年で,雑誌Ophthalmoscope 7巻に短い論文を出し,さらに翌年再び同誌に論文を載せている。
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