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Ⅰ.緒言
最近我々は2年数カ月にわたつて殆んどあらゆる治療に抵抗し,今日に至る迄経過を観察している結角膜疾患の1例を経験したのでここに報告する。2年数カ月間の経過を精しく記述するとあまりに長くなるので,先ず概括的に主要症状と既往症について述べ,次に経過の大要を記すことにする。
患者は21歳の女子。初診31年7月16目。当時は右角膜中央部の鉄片異物であつたのでこれを除去し治癒した。然るにその後昭和32年2月11目,右眼眼球結膜に小さな火傷をうけ,この火傷部位は小潰瘍となり,その潰瘍は中々消失せず約2カ月後写真1にみると同様な病巣となつた。即ち結膜に出血と線維素の滲出を伴う限局性の結膜病巣を形成していた。その後角膜縁にそつてこれに近接する眼球結膜を移動しながら,病巣は慢性的な所見を呈して一進一退した。この患者に認められた結膜の病的所見としては出血,線維素滲出,結膜下気泡の形成,結膜の断裂,浅い結膜潰瘍,結膜下の小瘢痕であり,それ等の諸変化が出没している中に,昭和33年9月29日に至り角膜にも病変が波及した。角膜における変化としては上皮剥脱,角膜組織の断裂,角膜内気泡形成,穿孔及び混濁,角膜内出血等であつた。
A case report was made on so-called "bullous keratoconjunctivitis" in the both eyes of a 21-year old female which had not been treated sucessfully for more than 2 years.
In typical attacks, small bubbles appear in the subconjunctival region and in the superfi-cial layer of corneal stroma, accompanied with fibrinous exsudation, hyperemia and turbidity.
After the small bubbles have disappeared, corneal ulceration occurs which forms nubeculas afterward. The attacks appeared paroxysmally.
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