Japanese
English
手術
眼の補填形成術
Some cases of Eye prosthesis
秋山 太一郎
1
Taichiro Akiyama
1
1順天堂大学眼科学教室
1Dept of Ophth., Juntendo University, school of Medicine.
pp.987-988
発行日 1959年6月15日
Published Date 1959/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410206695
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1.はじめに(外装義眼のおこり)
ジメチルポリシロキサンを基本材料として,合成上の手続で人体の軟組織のような柔らかさのものから,軟骨様のものまで自由につくることができ1)2)3)4),加えて,これが生体に為害作用もないこので,体内部の各方面に補填材料として応用するとがさかんになつている。その上,ジメチルポリシロキサン(高弾性DMPS)は柔らかさそのものが,従来のいずれのプラスチツクスに比べても,もつとも皮膚的な感触のある材料である。また,機械強度も高く化学的にも安定で,汗や唾液にもおかされないし夏冬の温度差で硬さも変らない。さらに,皮膚のような小ジワを精密に表現し,着色も固体差に応じて自由にできる成形法を開拓したので,体外部の補填材料としても最適の材料である。昭和29年頃より人体各種の欠損に応用しているが5),今回は,眼科領域での応用法の一つとして,外装義眼法による補填形成術を報告しようと思う。これは,眼部に大きな凹陥がある場合,例えば,眼球を摘出してから長期間経過したとか,骨を含む眼部の大きな欠損がある場合は,従来の眼球義眼の装着だけでは外観的恢復が不十分である。このような場合に応用する外装義眼は,単に飾りだけの問題でなく,患者自身の精神的安定をはかる上に重要な意味がある。すなわち,精神医療を前提としての出発点があるのである。
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