Japanese
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研究
メタクリル樹脂による頭蓋欠損の補填(1)
REPAIR OE CRANIAL DEFECTS WITH METHACRYRIC RESIN
三木 輝雄
1
Teruo Miki
1
1東京大学医学部清水外科教室
1The First Department of Surgery of Tokyo University School of Medicine
pp.589-598
発行日 1958年9月1日
Published Date 1958/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200705
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緒言
頭蓋骨欠損を補填せんとする試みは古く16世紀に始まる。戦争は外科学の進歩を促すと云われるが頭蓋形成術(Cranioplasty, Kranioplastik)(此処では頭蓋欠損部を何等かの材料の移植を以て補填せんとする手術をさす。従つて頭蓋外の軟部の形成術は含まない。又たとえ侵襲が頭蓋内に及んでも単に癒着剥離や陥凹骨片の整復等に終つた時は之を除外する事とする。以下同じ。)はその歴史を顧るとその進歩が特に戦争と関係深い分野であつて前後2回の大戦により多数の経験が積まれた。米国だけでも第二次大戦の症例数は5500例以上と見積られて居る。その適応,補填材料,手術法,臨床成績等に就て実におびただしい文献があるが著者はそれを逐一reviewするいとまを持たないので之を文献2)6)9)に譲り近況の概観を行うに止めよう。
頭蓋形成術の歴史上第二次大戦の前後を比較して最も目立つて居る点はタンタラム,ステンレス等の新金属材料アクリル樹脂,ポリエチレン等の高分子材料の出現と保存骨等各種の自家生骨以外の骨性材料の利用とであつて手術の適応,方法等に就ては戦前戦後を通じて大差がない。換言すれば補?材料の優劣に関しては今尚意見の一致を見ないのであつて術者各自の見解,経験,或は好みに於て選択されている現状であるが適応,手術法に就ては一応結論が出ていると云つてよい。
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