談話室
大田区眼科医会便り(その2)
柴田 正元
pp.1061-1062
発行日 1958年7月15日
Published Date 1958/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410206417
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昭和28年12月23日,医療の向上,学術の研鑽,道義の昂揚,会員の団結と力に依り相互の福祉増進,親睦を目的として,孤々の声を上げた本会の最初の便りは31年の臨眼(95頁)に発表したが,今回は,其の(2)として,30年7月以降の消息をお知らせする。眼科医会の主唱に依つて,蒲田,大森,調布の各保健所長,学校医会長,教育長,中小学校長代表を含めて,「トラコーマ」予防撲滅対策協議会を設立し学童「トラコーマ」の予防撲滅運動に積極的に乗出すことになつたが,第一回の学童「トラ」無料診療は昭和30年9月から3カ月間に亘つて行われた。これは大田区教育委員会が各学校長宛に,自校内の「トラ」の学童で,健保の家族でもなく,更に又生活保護法の適用も受けられず,診療費負担能力のない者の調査をさせ,其の数だけ眼科医会から無料診療券を発行して,各会員に3カ月間券持参者の診療奉仕をお願いした。第一回は139名が其の対照となつたが,何処からも予算の出る所がなく,たゞ当時の蒲田保健所長池田博士が,眼科医会のこの企劃に賛同し,特に,保健所から9424円の現金と「オーレオ・マイシン」「アクロマイシン」の「チユーブ」及び「カプセル」(2万円見当)の現物を寄附されたのみであつた。此の様な僅かな寄附丈ではあつたが,全会員は一致して心良く無料診療の主旨を理解,協力して呉れたので好成績を収めた。
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