--------------------
厚生省便り
pp.361-369
発行日 1950年6月15日
Published Date 1950/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200663
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
早期黴毒の治療指針
最近梅毒の治療法としてペニシリンが使用されるようになつたが,この治療法は治療日數の短縮(從來の砒素劑や蒼鉛劑による治療日數は大てい半年位かかつたのが,これによると約2週間で完了),副作用の稀なこと等から,治療の中途でやめるものを無くすことが出來,傳染の防止にもきわめて有効適切であるので,公的の性病診療所,性病々院において,今後は常分の間次の治療指針に從つて新患渚に對しペニシリンを使用する治療法を試みるよう,厚生省では3月29日付各都道府縣知事宛通牒を發した。なお,ペニシリン治療を行う際は必ず充分爾後の經過を追及し完全な記録をとること,追つて別の報告樣式を示すまでは,診療状況追及の記録は從來の砒素劑,蒼鉛剤による治療を行つた時と同様に整備しておくこと,既に砒素剤,蒼鉛劑によつて治療を行つている者については從前の定つた治療法が終るまで繼續するよう要望している。
「早期梅毒に對するペニシリンによる治療指針」ここに示す治療法は,早期梅毒ことに初期,第二期の梅毒に有効であつて,晩期の治療法については更に研究の必要があるので示していない。本治療法を行うに當つては,必ず爾後の經過を觀察し,少くとも第1年目は3ヶ月に1回の健康診斷と血液検査を行い,治療の奏効を確認し,再發或は無効と思われるものには再治療を行われたい。
Copyright © 1950, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.