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アメリカ便り
田多井 吉之介
pp.134
発行日 1952年2月15日
Published Date 1952/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201001
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皆樣方お變りありませんか,氣にかかりつつも御無沙汰しているうちに1951年もあと30時間でお別れというところまできてしまいました。まず皆々樣がよい新年をお迎えなさるようお祈りします。なにしろ,どんなことを勉強するにしろ,米人學生の2倍以上の時間がかかるので仕事に追われて暇がありません。我ながら情なくなりますが暇がないのも一徳があつて,餘計なことを考えませんから,ホームシツクになる心配がありません。この12月23日から1月6日までのお休みにも,あれもしたい,これもしたい,と豫定しておりましたが,いざ休みになると,サスガはクリスト教國だけあつてInvitationそのたで遊ぶことが多く,アレヨアレヨという間に1週間たつてしまいました。日本を立つ前考えていた,なるべく旅行して廣くみてこようという考えも,いざサンフランシスコへついてみると,ニューヨークまで特急で4日かかるという,トテツもないひろさにビックリして,1-2年では到底"アメリカ"をみることはできないとアキラメました。マサチユーセッツ州の,ボストン市だけで我慢するつもりです。
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