Japanese
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臨床実験
上鞏膜血管系の研究
Studies on the system of episcleral blood vessels
呉 基良
1
1呉基福眼科研究所
pp.911-930
発行日 1958年6月15日
Published Date 1958/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410206386
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第1章 緒言
血液は元来生体内に於て組織の為に栄養素を運搬し,且つ其の代謝産物を排泄する主役を演ずるが故に一旦組織に病的変化が発生した場合,其の新陳代謝に最も関係深き血液が直ちに異常を来すは勿論の事其れを輸送する唯一の路,即ち血管にも多かれ少かれ影響が波及される事は自明の理である。殊に病的組織及び其の近辺に於ける血管には其の影響が極めて直接的である為,著明な形態学的変化が起り得る事は当然考へられるべきである。換言すれば血管系は其の分布を受けた組織の病的変化と緊密な関連があり,血管系の変化のみを以て当該組織の病変を診断し,又は其の病的状態を推定し得るものがある程である。
19世紀初頭に彼のAndral (1829)が『生体に於ける局部的病変は総て局部毛細血管の障碍に基づくものである』と発表して以来血管系と組織病変との関係に就ては枚挙に逗なき程多数の研究と見解が重ねられている。但し其等は殆ど炎症時に於ける血管系の役割に就てであり,且つ病理解剖学的若くは病理組織学的研究に属するものであつて生態顕微鏡学的に追及されたのは極く近代,即ち細隙燈顕微鏡がGullstrand (1911)に依り考案されて以来の事であり,其の研究業績も又寥々たるものである。
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