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緒論
前回の報告8)で私は,本症の初期に視力が凸レンズで矯正される現象に就いて観察し,凸レンズの度で推定される所謂遠視の度の著しい場合には,必らずそれに相当した大きさの浮腫が検眼鏡的に認められるが,逆に浮腫が相当に大きい場合,例えば視神経乳頭の6乃至7倍に達する場合でも,所謂遠視の度が,全くない場合から,+1.5D程に及ぶ場合まである事を述べた。
所謂遠視が著しくそれに相応した浮腫がある場合は,勿論増田氏3)以来認められている様に,組織的に網脈絡膜の間に滲出液が溜り,網膜が前方へ移動して,眼軸は見掛け上短かくなり,これが遠視の原因となる事は誤りないと思われる。然しながら茲に浮腫の相当に大きい場合でも,所謂遠視の全く起つていない場合がある事は,前報の遠視と浮腫の大きさとの関係の図8)より認めなければならぬが,検眼鏡的に認められる黄斑反射輪の拡張及びその中の混濁で特徴づけられる浮腫が,従来増田,長谷川1),北原2)の諸氏に依つて述べられている様に,総て網脈絡膜の間に溜つた滲出液のためであるとすると上述の結果の説明が困難になる。即ち同じ様に綱脈絡膜の間に滲出液が溜つても,或る場合には網膜は凸出し,或る場合には殆んど凸出しないと云う事になり,その凸出の有無は一方的に検眼鏡で認める浮腫の大きさに関係していないからである。この事は本症の病像を統一して理解する場合厄介な事になる。
The author examined relation among the sizes of edema, and central scotoma, and visual acuity for the cases in the early stage of Masuda's retinitis centralis.
As a result the edema observed ophthalmoscopically is not always the local detachment of the retina as so far considered, for the reason;
1. The size of central scotoma is too small to compare with that of edema.
2. There are so many cases of which the visual acuity is not corrected by convex lens even in the cases in which edema was observed comparatively large.
In these cases it is suitable to regard .
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