特集 トラコーマ
綜説
結膜濾主胞の研究(第1報)—トラコーマの濾胞圧出標本における細胞の種類について
松尾 信彦
1
Nobuhiko Matsuo
1
1岡山大学医学部眼科学教室
1Dept of Ophth. School of Medicine, Okayama University
pp.1599-1603
発行日 1957年12月20日
Published Date 1957/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410206209
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.緒言
結膜濾胞は乳頭増殖,瘢痕形成,パンヌス及びプロワツエツク小体と共にトラコーマにおける主要症状の一つであつて,既に先人により多数の詳細な研究業績が発表されている。しかしながらトラコーマ以外の疾患においても濾胞の発生がみられ,新美氏は生理的に人体内に存在することもあり,又種々の刺戟に対する防禦反応として生体内に新生することもあると述べ,樋渡氏は人結膜の濾胞はすべて外界の刺戟に対する病的反応であるという。従つて濾胞はトラコーマに重要な症状ではあるがトラコーマに不可欠のものでもなく又特有なものでもない。
殊に最近トラコーマ治療法の進歩により早期にトラコーマが治癒に向つた場合に所謂結膜濾胞症と区別し難い症例が多くなり両疾患にみられる濾胞の関係については多くの議論がある。かくの如く結膜濾胞に関しては術多数の興味ある問題が堆積されている。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.