トピックス
人工眼開発に一歩前進
pp.1146
発行日 1974年10月15日
Published Date 1974/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410205193
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英国医学研究会議(Medical Research Council)代用神経研究グループのP.E.K. Donaldson氏(写真上)は,このほど英国学士院で人工眼研究の最新の成果であるマイクロ回路(写真下)を発表,実演した。このマイクロ回路は代用神経研究グループがニューマーケット・トランジスターズ社(Newmarket Transistors Ltd.)と共同で開発したもので,シリコンのカプセルに包含され,中温の生理的食塩水中で効果的に作動する。システムは一種のテレビカメラから成り,これが頭に帽子のように取り付けてある数個の小型発信機に信号を送る。信号を受けた小型発信機は,頭皮の下に埋込まれた電極にラジオパルスを送り,脳の視皮質を刺激する。こうして,全盲者も点字を光の点のパターンとしてとらえることができる。人工視力の質は,組織移植片の構造の複雑さによるが,組織移植片は非常に小型でかつ短絡を起こさず,体の液の腐蝕を受けないものでなければならない。このような条件を総合すると,今回発表されたシリコンのカプセルに入つたマイクロ回路は,人工視力開発への大きな敷石となる可能性もある。
Donaldson氏によると,人工的な方法による視力の回復は皮質の刺激分析力によるが,皮質のこの力は良好のようであるという。信頼できる回路ができるなら,初期のテレビに映つたほどの像はただちに得ることができる。
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