とびら
看護の前進のために
林 塩
1,2
1日本看護協会
2参議院
pp.13
発行日 1963年4月1日
Published Date 1963/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911897
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昨年の暮れ,厚生省医務局に看護課が再設置される運びになったという朗報は,全国津々浦々の協会員および関係者を非常に喜ばせた。待つこと久しかった,とは正にこのことであった。以前の看護課が厚生省から消されたのは昭和31年であるから,あれから7年になる。もともと,この看護課は,終戦当時の占領政策下にできたもので,世界の看護後進国であるわが国の看護行政の推進のために,占領軍政の強いアドバイスによって設置されたのであった。ところが,この看護課が医療行政の中に,じゅうぶんにその機能を発揮して,しっかりと根を下すに至らないうちに,占領の解除後まもなく,その姿を消したのであった。当時の行政簡素化政策の結果がよわいところにしわよせられたのであった。看護課は看護行政上必要であったが,看護自体が社会的に弱かったから,婦人の社会的地位が低いから,看護団体が政治的に弱かったから,というのがその理由であったように,私は当時の政務次官から聞いたのであった。看護課は,医療保健の伸展のために必要な看護が,わが国では後進的であるので,これを前進させるための行政指導を強化するためのものであったはずである。
看護協会は,看護課廃止の直後から復活運動を展開してきた。当局への陳情請願すること何回に及んだか数しれず,毎年の総会では恒例のように看護課復活要求決議をした。代々の厚生大臣には直訴もした。
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