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はじめに
あらゆる薬物療法に抵抗して進行し,糖尿病患者に失明の恐怖を与える増殖性の糖尿病性網膜症(以下網膜症と略す)に対しては,Meyer-Sch—wickerathにより開発された光凝固療法の導入により,積極的治療への一歩がふみ出されたことは事実である。しかしこれはあくまで対症療法であり,根本的治療への途はまだ前途ほど遠いものであることも事実であり,なお多くの未解決の問題が網膜症の治療に残されている。
ともあれ,本網膜症に対する光凝固療法の発表は,近年流行といつてもよいほど多く海外の専門誌上を賑わし,国内の追試発表もすでに少なくない。しかもそのほとんどが本症の早期に対して適用すれば有効であり,増殖性変化の加わつた病期のものにはほとんど無効であるという結論で一致しているが,筆者ら1)は本療法が,外科的療法とも呼ぶべき瘢痕を残す治療であり,みだりに乱用すべきではないこと,増殖性病変の発生を極力早期に発見して,すみやかに本療法を適用すべきこと,重症網膜症にも有効なことなどを昨年臨眼グループディスカッションで発表したが,以後さらに症例を加え,経験を重ねるに及び,より多くの反省点を見出すことができた。そこで今回は,重症の網膜症に対する本療法の成績と,特に術後の合併症について報告し,今後の本療法の指針の一つとしたい。
The purpose of this paper is to clarify the ill effects of photocoagulation on the prognosis of proliferative diabetic retinopathy.
Between February 1969 and July 1971, 58 pa-tients (82 treated eyes) with progressive diabe-tic retinopathy have been treated by photocoa-gulation using the xenon-arc source and these eyes were exam inated periodically by fluoresce-nce angiography and ophthalmoscopically, over the last 3 months.
Photocoagulation improved the retinal changes in 54 per cent of the eyes, but the progression of the retinopathy appeared in 17 per cent of the eyes after this treatment.
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