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I.緒言
近年,糖尿病の眼合併症に対する関心が医師および患者の間で高まつてきた結果,われわれ眼科医の外来を訪れる糖尿病患者の数が急速に増加しつつある。
しかし,これらについての正しい理解を持つている医師は必ずしも多くなく,その多くは患者から視力に関する訴えのない場合は合併症のないものと放置したり,医師(大半は内科医)自身の簡単な直像鏡による眼底検査のみで満足しているのが現状である。著者の1人福田は,最近,糖尿病の眼合併症に関する啓蒙的な講演を,東大本院における実態調査の結果を中心に都および区の医師会において行なつたが,後にそのように多数の眼合併症が存在するとは考えられぬという開業医よりの反論があつた。もちろん,われわれの外来を訪れる糖尿病患者の中には,眼科的な主訴を持つているものが少なくないのであるから,それがただちに糖尿病者の実態とはいえないと思うが,まだまだわれわれの啓蒙的な努力の必要性の痛感された次第である。そこでわれわれは眼科外来を訪れた糖尿病患者に合併した眼合併症について,最近3年間の東大本院の実態調査結果と,これよりも地域病院的色彩の強い目白台の東大分院における最近3年半の同様の調査成績とを合わせて報告したいと思う。
A retrospective statistic observation on 1,190 cases of diabetes mellitus who visited the clinics of the authors, the Main and Branch Hospital, during the last 3 years has been presented. The cases included 530 instances of diabetic retino-pathy, 497 instances of cataract, 35 instances of diabetic iridocyclitis and 26 instances of second-ary glaucoma. Nearly one half of the diabetic patients, therefore, were found to have diabetic retinopathy or cataract in the present material.
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