銀界余滴
最近の読書から
進藤 晋一
pp.259
発行日 1970年2月15日
Published Date 1970/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410204242
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鹿野,清水両先生の「Atlas ofFluorescence Fundus Angiogra—phy」は桐沢先生が激賞なさつている通りに,まことにすばらしい。殊に私は四切位の大きさに拡大された毛細管像に魅了させられてしまう。Background Fluorescenceのうち,pre-arterial phase以前の眼底の状態についての解釈がゆき届いているように思う。私は脈絡膜の螢光撮映についてのprot,Gassの仕事に興味を持つているので,両者を併せ読むと日常の眼底病変の解釈が容易に思われる。また黄斑の孔形成についての記載もわれわれ開業するものには種々と思考の根拠を与えてくれる。ベーセット病の項も然りである。緑内障性変化は螢光では病勢の進行とともにどのように推移するのか,これも豊富な資料の中から,是非第2版には追加していただきたいと思う。スペイン語版,イタリァ語版もすぐ出版されるという。私の知るアメリカの眼科医は皆,大変に欲しがつている。
「臨床眼科全書」日本眼科全書が,多くの読者の期待に反して,戦前の版は戦争で中止となり,戦後のものは読者に一言の理由も明かさずにこれまた続刊中止となつた。随分と購読者を馬鹿にした話である。その埋め合わせというわけではあるまいが,今回,臨床眼科全書全8巻のうち第7巻が出た。これは,内容的にも新しく,手頃な記述である。
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