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I.緒言
屈折異常の成因については,遺伝的素因の占めの役割は大きいと考えられ,そして,それに環境る影響が加わつたものと解釈しても過言ではない。事実,明らかに屈折異常の頻度に人種差が見られ,日本人や中国人に近視が多く,白人には少ない。また,アフリカの住民では近視はまれだといわれている。
このように,屈折異常の分布に人種差が生じたのはなぜか,ということについては,遣伝学の立場からもいろいろ論じられているが,眼科の立場からも,屈折異常の成因の解明の一端としてとり上げるべき問題であろう。日本人の眼屈折と,他民族のそれとの比較は,文献上のみでは不十分であり,また,屈折要素にまでわたつて比較検討する必要がある。そして,完全なことを望むならば,世界中のあらゆる民族について調べなければならないが,それは不可能なことである。しかし調べ得るところから一つ一つのデータを積み重ねることによつて,一歩ずつ目的に近づくとができる。このような意味で,われわれはタイ人の屈折を調べる機会を得たので,日本人の屈折と比較検討した結果をここに報告する。
Quantitative estimation of various refractive elements of the eye has been conducted in 250 youths in Northeast Thailand in 1967 by slit-lamp photography of the anterior segments of the eye. The findings have been evaluated by comparison with those in the Japanese in the corresponding age groupe (Figure 1)
1. Myopia has been strikingly infrequent in Thais. In exceptional cases was the myopia over -1.0 diopters.
2. In emmetropic subjects, the radius of cor-neal curvature was greater in Thais than in Japanese.
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