Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.緒言
生体眼におけるトキソプラスマ原虫の証明法が確立されていない現在,眼トキソプラスマ症の診断は主として臨床的症状と血清学的検査の結果から,推定的に行なわれているにすぎない。しかもその臨床症状は,過去において原虫の証明された少数例の特徴を,最大公約数的に綜合したものであつて,いまだ論議の余地が数多く残されている。したがつて,眼トキソプラスマ症の診断にあたり,血清学的検査の結果を重要視することはやむをえないことと思われる。しかるに周知のごとく,トキソプラスマ症にはかなりの不顕性感染が見られるので,その血清学的検査の結果を過大評価することはきわめて危険と思われる。それがために鬼木2)のごときは,血清学的検査はあくまで疫学的に利用されるべきものであつて,個々の症例における診断の決め手とはなりえない,と述べている。
従来,後部葡萄膜炎,限局性滲出性網脈絡膜炎,中心性網膜炎等が,トキソプラスマ症と関係のある眼疾患とされてきたが,その根拠となるべき疫学的研究は少ない。かかる一連の疾患が,果して従来いわれているほどトキソプラスマ症と関係があるかどうか,また,もしあるとすれば,それはどの程度のものであろうか。
Sera from 480 healthy inhabitants in Gunma Prefecture were examined for the toxoplasma antibody by means of the hemagglutination test according to the UCLA-Denken technique with the following results :
1. When the antibody titer of 32x and abovewas graded as positive, the overall positivity rate for the entire sample was 34.2%. When the critical titer for the positivity was set at 512x, the positivity rate was 24.0%. The lat-ter figure is definitely higher than the values reported by earlier workers in Japan.
2. The positivity rate tended to increase with age. It levelled down after 70 years.
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.