談話室
台湾大学とそのトラコーマ研究
中泉 行正
1
Yukimasa Nakaizumi
1
1東京都研医会
1Tokyo-to Keni Kai
pp.659-662
発行日 1964年5月15日
Published Date 1964/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202960
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1.台湾大学
台湾には5つの医科大学があるそうである。
台中等の台北以外の大学は行かないので話にきいただけである。台北には国立の大学と私立のものと2つある。私立のものは小さくてまだ新設なので貧弱である事はまぬかれないが,年を経るに従って完備される事であろう。国立の方は昔の台湾総督府時代からあつたもので,それになお増設されて完備されていて,日本の医科大学よりも設備もよい。医科大学とか医学部といわないで医学院をいい又附設病院といわれている。国立台湾大学医学院では学生の教育はアメリカ式で臨床部門では一般講義は殆んどない。多くは臨床講義等でカンフェレンスが非常に重きをおいている。眼科の外来でも1日の新来患者は約80名位であるが,これを8つの小さな診察室で診察している。この8つの診察室に教授,副教授,講師等の相当の眼科専門医がついて学生及びインターンが数人配属されて,まず視力とか暗室検査等をして,それから眼科の中央検査室というのがあって各種の精密検査をやつている。これは各診察室から,中央検査室にまわして結果は診察室にすぐ報告されるようになつている。学生およびインターンは診察室と検査室の間を行ききしている。又緑内障は緑内障室というのが特別にあつて各種の精密検査等をしていた。又暗順応は現在特別に研究されていて室も特別に3室準備されていた。その他弱視斜視の訓練室もあつて,女医の楊敏博士が主任として熱心に指導されていた。
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