病気のミニ世界史
トラコーマ
大熊 房太郎
pp.38
発行日 1970年10月1日
Published Date 1970/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661915047
- 有料閲覧
- 文献概要
トラコーマは明治,大正時代にはわが国の一大国民病といわれ,昭和43年度においてもまだ12,336人の患者が届出られている伝染病ですが,もともとは外来のもので,“国産”の病気ではない,というのが定説です。
では,最初はどこの国にあった病気かといいますと,世界最古の医学文献として有名なエジプトの『パピルス文書』にトラコーマらしい眼病についての記載があることや,また“医学の父”といわれたギリシャのヒポクラテスがトラコーマに似た眼病のことを「エジプトを中心とした東部地中海沿岸地方の病気……」と書いていることなどからおして,トラコーマは元来はエジプトあたりに起源のあった伝染病と思われます。
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.