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近年,原子力の,兵器或は産業への応用の為に,之に関する諸種の研究及び実験が行われるようになり,之と共に,放射能により人体に惹起される障碍に対する関心は世界的なものとなつて来た。我国は,不幸にして第2次世界大戦末期に,原子爆弾による多数のヒト的,物的犠牲を経験し,更に近くはビキニに於ける原子核兵器の実験によつて再び少からぬ犠牲者を出した。この他,放射能雨,漁場の汚染等,放射能に関する関心は誠に深い。
京都大学医学部菊池内科に於ては,夙に広島及び長崎に於ける原子爆弾被爆者で,京都府近辺に在住する者について全身症状を検査して来た。著者等は,昭和29年,之等の人々の眼所見を検査する機会を得たので,其の結果について述べる。対象は既に10年近く前に被爆した者であり,その眼所見を述べるに当つては,興味の中心は自ら白内障になるのであるが,原子爆弾白内障といつても,一種の放射線白内障であり,先ず放射線白内障について,主として戦後の業績に重点をおいて其の概要を述べ,更に原子爆弾白内障,中性子白内障についてて言及し,最後に著者の自験例について記述してゆく。即ち,此の論文の目的は,原子爆弾白内障を中心として,放射線白内障に対する認識を再び新なものにする事にある。
The outline of radiation cataract was described mainly according to the postwar foreign achievement and the literatures of atomic bomb catract and neutron cataract were presen-ted. Our results were as follows.:
1) The objects of this study were 36 individuals, 29 males and 7 females, who have encountered the explosion of atomic bomb in Hiroshima or Nagasaki and are living in Kyoto prefecture. Age of them are 21 to 40 yrs. in 25 cases. The explosion distance were 0.1 to 4.0 km. in 20 cases.
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