臨牀例
原子爆彈傷の虹波治驗例
土橋 秀孝
1
1慶應義塾大學醫學部外科學教室
pp.44-49
発行日 1947年2月10日
Published Date 1947/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200186
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緒言
今次大戰に始めて出現せる原子爆彈はそれ自體有史以來始めての出現であるだけに,これに依る傷害も全く獨自のものであつて,それか及ぼす作用及び影響はこれまで何れの文獻にも見當らぬ特異的のものであるが,患者發生以來諸家の各方面に亙る研究の結果漸次その全貌を明らかにしつつある現状である。現在までに判明してゐる諸症状の中の一つは1922年W. Schultz氏に依り始めて記載された顆粒白血球消失症(Agran alocytose)のそれに非常なる類似點を持つてゐるといふことである。余は最近原子爆彈に依る患者の中外見上何等の損傷なく,しかも上記顆粒白血球消失症と殆ど同樣な症状を有する2例に遭遇し,これを特殊藥「虹波」にて處置し完全に治癒せしめ得たので,此處にその詳細を報告する。
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